進学支援

高専から大学に編入する利点とは?
  • ほぼすべての国立大学の理工系の学部に進学できる
  • 学力入試は理系専門科目中心で推薦入試は合格率が高い
  • 高専生に特化した国立大学の技術科学大学がある

実は進学の可能性を秘めている高専

高専は「就職に強い」学校としてよく知られていますが、最近では「進学に強い」高専へと変わりつつあります。ここ数年、進学する学生は全体のおよそ3割ほどになり、有名国立大学へ進学する学生も増えてきています。高専からの進学は、本科5年次卒業後に大学3年次(2年次)へ編入学、専攻科2年次卒業後に大学院へ入学の2つあります。「大学に進学したいから高校に進学する」ことが一般的ですが、高専からも大学に進学することができます。必ずしも「就職のための学校」ではありません。高専で教養と高度な専門性を身につければ進学の道も切り拓くことができます。高専生が進学する利点は高等専門学校であるが故に、本科2年次から大学で学ぶような専門的な授業を受けられる点です。高専では大学で使用するような実験装置も扱うので、大学教員や企業の方からも「大学生よりも実験装置に慣れているので即戦力」と高専生の評価が高いです。

大学編入試験の科目数は少ない

国立大学の一般選抜では,共通テストと2次試験(個別学力検査)が課されています。特に、理系型では外国語、数学2科目、国語、理科2科目、地歴公民を受験する必要性があります。理系受験生の中には、「どうして文系科目も受験しないといけないのか?」、「理系科目は得意だが,文系科目は苦手だ」と感じている人もいるかと思います。一方で、国立大学の編入試験の学力型選抜では英語、数学、物理、専門、面接が課されることが多く、大学入試に比べて圧倒的に受験科目数が少ないです。また、国立大学の一般選抜とは違い、理系科目に特化した専門的な内容を問う試験になっているために、理系科目や専門科目が好きな学生や得意な学生にとっては有利となっています。ただし、試験の内容は大学1・2年次の内容から出題されるために、大学入試よりも問題の専門性は高くなります。例えば、編入試験の数学では高校で学ぶ微分、積分、行列以外にも偏微分、重積分、微分方程式、行列式、固有値・固有ベクトル、行列の対角化などが出題されます。特に、旧帝国大学ではベクトル解析、複素関数論、フーリエ解析、偏微分方程式なども出題され、非常に高度な数学の能力が必要になります。

有名国立大学にも進学者多数

最近では阿南高専からも有名国立大学に進学し、徳島大学を始め、岡山大学、神戸大学、九州大学、大阪大学などに進学する学生もいます。大学編入試験では推薦型入試があり、調査書と面接の結果次第では有名国立大学に進学することができます。つまり、日々の高専での学習の成果が編入試験に反映されます。最近では推薦型入試で九州大学や千葉大学へ編入学している学生もいます。また、大学編入試験は、試験内容や試験日程が各大学各学部によって大きく異なり、大学入試の2次試験のように統一した試験日を設けられているわけではありません。場合によっては、東大工学部や京大工学部など複数の国立大学を受験することが可能です。

高専生に特化した大学

国立大学法人の豊橋技術科学大学(豊橋技科大)と長岡技術科学大学(長岡技科大)は工学系を専門とする大学です。3年次編入学定員は1年次入学定員の5倍近くあり、まさに高専生のための大学です。そのために、阿南高専からも毎年数人が技科大へ進学しています。他大学での編入学生数は少なく、高専からの編入学生は心細いかもしれませんが、技科大ではその心配がありません。就職率も良く、前期博士課程も含めた4年間のプログラムが充実し、より専門的な知識を身につけることができます。また、技科大の後期博士課程に進学し、博士号を取得後に大学・高専教員のポストに就く方もいます。技科大の編入試験では特待生制度があり、入学金や授業料免除されることがあります。経済面の不安から進学を諦める学生がいる反面、技科大はそれらの学生に対して十分手厚い支援する制度があります。高専生が大学編入を希望する上で、まずは技科大を勧めています。

専攻科へ進学するという選択

高専では本科(5年制)と専攻科(2年制)があり、本科を卒業すると準学士(短大卒に相当)、専攻科を卒業すると学士を取得でき、四年制大学を卒業したことと同等の扱いとなります。学士を得ることで、本科では就職が難しい企業や、より専門的な研究・開発の部署に就職できることがあります。専攻科卒では初任給が本科卒に比べて平均で2〜3万円ほど高くなります。大学では一般に4年次に研究室配属され、1年間研究できる一方で、専攻科に進学すると本科と合わせて3年間じっくり研究することができます。大学に比べて、教員と学生の距離感も近く、きめ細やかな指導が可能です。また、専攻科から大学院へ進学することもでき、本科5年次から修士課程まで合計5年間も研究に打ち込めます。阿南高専専攻科からは技科大大学院や奈良先端科学技術大学院大学へ進学する学生が多数います。